染織講座
↑ 刈安 芒に似ていますが、上の画像は「刈安」と呼ばれる イネ科のススキ属植物です。 古代より、ススキ属の植物は黄色を染めるための染料として 用いられてきました。 中でも刈安は、刈りやすく(刈安という名前の由来です) 安価で入手しやすかったため多…
五色の絹糸 索餅(さくべい) 〈kotobank.jpより画像お借りしました〉 本日は、七夕ですね。 現代で七夕飾りといえば、短冊状の紙に願い事を書いて笹に飾るというのが定番です。 平安時代、七夕は乞巧奠(きこうでん)という宮中行事でした。 この行事のお供…
藍の種が発芽しました こんにちは。 緊急事態宣言が解除されましたが、引き続き慎重に行動しています。 店舗は6月より再開しますが、3密を避ける対策をしっかり取って営業します。 藍の季節になってきました。 少し遅れた藍の種まきに不安でしたが、8日後…
この2色の組み合わせは「楝(おうち)」。=襲の色目の名称 平安時代の装束の色には、全て意味があります。 例えば、上画像の薄紫色と深緑色は4月〜5月のみに着られる、装束の色目の組み 合わせです。 この初夏の色目の組み合わせを「楝(おうち)」と呼…
こんにちは。「染める」ブログの続きです。伝統工芸の展覧会に行くと、必ずと言っていい ほど着物の作品が展示されています。 その中で、目にとまる作品の一つが鹿の子絞り で作られた着物の美しさです。鹿の子絞りは絞り染めの一つの技法です。 日本では千…
こんばんは。 前回の記事の続きです。日本における染色の歴史は古く、すでに縄文時代中期くらいから行われていた と言われています。当時は〝染色〟とまではいかない、木の実の汁を繊維に 擦り付けて色を着けるくらいのことだったようですが、時代の変化と人…
こんばんは。 私は染織作家でも織りを専門に作品制作をしているので、織りについての話は このブログ内でも多く取り上げてきました。しかし私の織作品は、まず織るための糸があってこそ初めて存在するものです。 織り機に糸を通し織り上げていくのですが、作…
こんばんは。 私は手織りで作品をつくっています。 先日、実寸大の大下絵は完成させましたが、 すぐに機で織れるわけではありません。 たくさんの工程を経て、織れる状態にします。 機で織物が織れる状態にすることを「機ごしらえ」と呼びます。 この言葉か…
こんばんは。 今週の七十二候は、染織に関連するものばかりです。 まずは「蚕起食桑」(かいこおきてくわをはむ)。 蚕が幼虫となり、桑の葉を盛んに食べだす頃という意味です。 次は「紅花栄」(べにばなさかう)。 紅花の花が咲き誇る頃という意味です。 …
こんにちは。 前回の記事の続きです。 西陣織の職人の方の工房へ訪問させていただいた時に、 その織っていく工程を拝見しました。 手間と集中力の要る大変緻密な技に、驚きを持って見たことを今でも覚えています。前々から言われていますが、機械織りや外国…
こんにちは。 街角で美しい着物をお召しになったご婦人を見かけました。 パーティにでもご出席されるのでしょうか。着物は手書きの京友禅の色留袖でした。 地色は深みのある紫にグレーを重ねたような色で、 とても上品で落ち着きあるイメージがしました。 柄…
こんにちは。 前回の記事の続きです。 織物とは違い「刺繍」は、布地自体に装飾を施す技法です。 布地に針と糸で装飾しています。刺繍は西洋・東洋問わず色々な技法があります。 針と糸があれば刺繍は作れます。 中国では刺繍が民間伝統工芸の一つで、2~3千…
こんばんは。 読者の方から、着物に施している文様を見ると、 刺繍か織物なのかが分かりにくいので、 どのように違うのか教えて欲しいという書き込みをもらいました。 確かにその違いは分かり易いものもあればそうでないものもあります。 京都で言えば特に西…
こんばんは。 先週末で終了してしまったのですが、 『北野天満宮 信仰と名宝』展を鑑賞しに 京都文化博物館へ行ってきました。 北野天満宮の1100年にも及ぶ歴史を、 神宝を介し時代を追って、知ることのできる展覧会です。 特に「北野天神縁起絵巻」は、…
こんばんは。 蔵田かずえです。 いよいよ明日は、新元号が発表され新しい時代が始まります。 新年度のスタートの日でもあるので、そわそわとしてしまいます。 新元号がどのような名称になるのか、とても楽しみです。 色々と想像してみた人も多いのではないで…
こんばんは。蔵田かずえです。 今日は、お久しぶりの文様の話です。 縁起物として代表的な「松竹梅」は、 慶事や吉祥の象徴としてあしらわれています。 着物の柄をはじめ、ありとあらゆるものに 文様として使われています。 松竹梅の文様は、日本でどうして…
こんばんは。 蔵田かずえです。 先日のブログの続きです。 p-p.hatenadiary.com 次は、「亀紋」についてです。 亀も鶴と同様、長寿のシンボルとして 古くから文様に取り入れられていました。 亀の文様の中でも、 尾が藻のように伸びたものは「蓑亀」といって…
こんばんは。 蔵田かずえです。 今日は日本の文様についてです。 「天皇陛下御即位三十年記念」として、 2月22日に切手が発行されました。 そのデザインは2種類あり、 「鶴亀文様」と「菊花文様」でした。 そこで今回は、「鶴と亀」に焦点をあてて お話を…
こんばんは。 蔵田かずえです。 日本のことわざには、染織用語が 由来のものが結構あることに驚きます。 例えば、「蓼食う虫も好き好き」。 以前ブログで、藍染めについての記事を 書きましたが、p-p.hatenadiary.com 種から発芽し、葉をつけた植物の状態の…
こんばんは。 蔵田かずえです。 日本の文様についてのブログを書いたところ、 p-p.hatenadiary.com もっと知りたいというコメントがきましたので、 文様について何回かに分けて書いてみたいと思います。 今日は「吉祥文様」についてです。 人は古代、寒さや…
こんばんは。 蔵田かずえです。 絹糸は、蚕の繭糸から採れる。という ことは皆さんご存知だと思いますが、 お蚕さん一匹からどれくらいの糸が 得られるか知っていますか。 答えは、約9km(9000m)です。 驚きですよね。 私もこの事実を知った時は、 お…
こんにちは。 蔵田かずえです。 染織の世界にいると、数多くの文様に出会います。 街を歩いていても文様探しをするのが、癖です。 日本の染織品に見られる文様そのものは、 飛鳥・奈良時代に源を求めることができます。 古典的な文様は、もともと中国から 渡…
こんばんは。 蔵田かずえです。 先日仕事帰りに美術館「えき」KYOTOによって、 「京都市美術館所蔵品展 花鳥風月」展を観て来ました。 (展覧会は終了しています) kyoto.wjr-isetan.co.jp 現在改装中の京都市美術館に所蔵されている 日本画、油絵、陶芸、染…
こんばんは。 蔵田かずえです。 現代で「糸」と言えば、 綿糸、絹糸、麻糸、刺繍糸、 羊毛糸、ナイロン糸…など 様々な糸の種類を引っくるめて 「糸」呼んでいます。 しかし、古代で「糸」と言えば、 時代によって指す糸の種類が 決まっていました。 奈良時代…